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南アフリカにおける特許を受けることができる発明とできない発明

2016年05月09日

  • アフリカ
  • 出願実務
  • 特許・実用新案

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■概要
 南アフリカ特許法(以下、「特許法」という)では、発明の定義についての規定はないが、特許保護の目的上、発明とはみなされないもののリストを示している。具体的には、特許法第25条(2)項において、発見、科学的理論、数学的方法、文芸、演劇、音楽もしくは美術作品または他のあらゆる美的創作物、精神的行為、遊戯またはビジネスを行うための計画、規則または方法、コンピュータプログラム、情報の提示については、特許性がないと規定されている。
■詳細及び留意点

【詳細】

 南アフリカ特許法では、発明の定義についての規定はないが、その代わりに特許保護の目的上、発明とはみなされないもののリストを示している。具体的には、特許法第25条(2)項において、下記のものは特許性がないとみなされると規定されている。

・発見

・科学的理論

・数学的方法

・文芸、演劇、音楽もしくは美術作品または他のあらゆる美的創作物

・精神的行為、遊戯またはビジネスを行うための計画、規則または方法

・コンピュータプログラム

・情報の提示

 ただし、かかる除外規定は、発明の主題そのものに関する範囲に限って適用される、と第25条(3)項に定められている。

 リストに示された除外対象について、以下に詳細に考察していく。

 

1.発見

 発見は、人類が特定の時点で、その存在について知ったとしても、基本的に過去から存在するものであり、発明にはあたらない。発見の例は、重力である。

 

2.科学的理論および数学的方法

 科学的理論は、ニュートンの運動の法則のように、自然界のある側面に関する論理的説明である。数学的方法は、科学的理論と密接に関連づけられることが多く、微積分やフーリエ変換のように、現実世界の数学的モデル化のために使用可能な分析方法に関係しているのが一般的である。数学的アルゴリズム自体は特許を受けられないが、技術的問題に対処するために当該アルゴリズムを実装するシステムは、特許を受けることができる。

 

3.文芸、演劇、音楽もしくは美術作品または他のあらゆる美的創作物

 文芸、演劇、音楽もしくは美術作品または他のあらゆる美的創作物は、南アフリカ著作権法により保護されており、特許性からは除外されている。

 

4.精神的行為または遊戯を行うための計画、規則または方法

 これらの概念は、本質的に精神的または抽象的な概念であり、通常は技術的概念とはみなされない。ただし、遊戯(例えば、トランプゲーム)の方法は特許を受けられないが、新規の遊戯に使用される装置やキットは、新規性および進歩性といった一般的な特許性要件を満たす限り、特許を受けることができる。

 

5.コンピュータプログラムおよびビジネス方法

 ソフトウェアによって実現されるビジネス方法など、コンピュータソフトウェア分野における発明の特許性は、グレーゾーンである。残念ながら、これらの除外対象の意味を解釈した判例法は、南アフリカには存在しない。南アフリカ特許法の第25条(2)項および第25条(3)項は、欧州特許条約の第52条(2)項および第52条(3)項に対応しているため、南アフリカの裁判所は、「技術的効果」を要求する欧州タイプのアプローチを採用することもあれば、他の国で実施されている、より柔軟な異なるアプローチを採用することもある。しかし、南アフリカの裁判所がコンピュータソフトウェアに関する発明の特許性を認める方向に進んでいくのはほぼ確実である。

 南アフリカは現在、無審査主義の国であり、ソフトウェア関連発明の特許を取得するのは可能であるため、裁判所によるこの問題に対する判示が待たれている。

 

6.情報の提示

 情報の提示は、基本的に著作権法に基づいて保護されており、特許保護の対象からは除外されている。したがって、例えば物品または組成物の使用方法に関する取扱説明書を保護することはできないが、物品または組成物それ自体は特許を受けることができる。ただし、ここでも重要な点として、第25条(3)項の規定に照らし、「技術的効果」を有する発明は、情報の提示に関係する場合であっても、特許保護の対象になる。例えば、情報を表示する視覚的表示装置は、他の既知の表示装置に付随する特定の技術的問題に対処するのであれば、特許保護の対象になる。

 特許法第25条(2)項に明記された除外対象に加え、南アフリカ特許法では、特許を受けることができない以下の7~11の発明がある。

 

7.反道徳的または犯罪的な行為を助長する発明

 犯罪的または反道徳的行為を助長すると一般に予測される発明には、原則として特許は付与されない。具体的に言うと、特許法は登録官に対し、この種の行為を助長すると登録官が判断する特許出願に対しては拒絶する権限を与えている。したがって、特許出願のクレームが、例えば車を盗む方法またはデートレイプ薬に関するものである場合には、反道徳的および犯罪的行為を助長すると思われるため、特許を受けることはできない。

 

8.自然法則に反する発明

 立証された自然法則に反する発明は、特許を受けることはできない。例えば、永久機関に関する発明は、物理法則に反しているため特許を受けることはできない。

 

9.植物もしくは動物の品種またはこれらを生産するための本質的に生物学的な方法

 微生物学的方法またはその生産物を除き、動物または植物の品種もしくは動物または植物を生産するための生物学的な方法に関する発明は、特許性がないとみなされる。生物学的な方法の例として、動物または植物の異種交配または選択的交配が挙げられる。ただし、注意すべき重要な点として、微生物学的方法およびその生産物は特許を受けることができる。例えば、特定の細菌または害虫に対する抵抗力を高めるために、特定の植物を遺伝子的に操作する方法は、特許を受けることができる。

 

10.手術、治療、診断の方法

 人体または動物に対して施される手術、治療または診断に関する方法は、特許を受けることができない。ただし、そうした方法で使用される薬剤などは、当該方法で使用することが明示的に意図されていれば特許を受けることができる。その医学的用途が「第1医学的用途」とみなされる場合には、「疾患Bを治療するための物質Aの使用」といったように、当該物質を「用途」クレームとして記載すべきであると考えられる。既知の物質の第2医学的用途の場合には、「疾患Bの治療薬の製造における物質Aの使用」といったように、いわゆる「スイス型」クレームとして記載すべきであると考えられる。

 

11.原子力に関する発明および法律に反する発明

 登録官は、法律に反する方法で使用される可能性のある出願を拒絶する裁量権を有している。出願人は、登録官にそうした拒絶を受けた場合、自己の発明の違法または有害な側面について権利を放棄することを条件として、自己の発明に対する特許保護を受けることができる。原子力関連発明に関する出願ついても、同様である

■ソース
・南アフリカ特許法
・DEAN & DYER著、Introduction to Intellectual Property Law(2014年)
■本文書の作成者
Spoor & Fisher Consulting (Pty) Ltd
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.11.18
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