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南アフリカ商標制度概要

2016年04月15日

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■概要
南アフリカの商標法は、1993年法律第194号の商標法、施行規則およびコモンローにより規定されている。南アフリカでは、指定する分類ごとに別々の出願をする必要があり、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由の双方について審査される。審査後、異議申立の為に公告され、異議が無ければ登録証発行となる。商標出願が登録へ進むまでには、約24ヵ月を要している。
■詳細及び留意点

【詳細】

 南アフリカの知的財産法は、1916年に最初の商標法が制定されてから、目覚ましい進化を遂げてきた。現在は、パリ条約、ベルヌ条約およびTRIPS協定を含む様々な国際条約や協定を基盤としている。現行の商標法は、1993年法律第194号の商標法、施行規則およびコモンローにより規定されている。商標法および施行規則は、商標の所有者に法律上の権利を与える商標の登録および権利行使について定めている。コモンローは、未登録商標に関する権利を保護しており、詐称通用や不正競争といった権利行使の手段が使える。

 

1.保護可能な標章の種類

 商標法第2条は、標章の定義において、「「標章」とは,図により表示することができるすべての標識をいい,図案,名称,署名,語,文字,数字,形状,外形,模様,装飾,色彩,商品の容器又はこれらの組合せを含む。」と述べている。

 登録可能な標章の種類は、上記にて全てが網羅されている訳ではなく、伝統的および非伝統的商標を含み、識別性を有し、図により表示することができる標章を全て含んでいる。

 登録可能な非伝統的商標の例として、立体商標、色彩商標、ホログラム、マルチメディア商標、ジェスチャー商標、匂い商標、味の商標、触感の商標が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、こういった種類の商標を登録する際には、商標法により要求される写実的表現が必ずしも可能ではないといった問題があり、企業知的所有権委員会(Companies and Intellectual Property Commission:CIPC)は一部の非伝統的商標については、適正に登録する為の整備ができていない。

 非伝統的商標の登録可能性に関して、登録官は、非伝統的商標の登録可能性を判断する基準として、明瞭性、正確性、自己完結性、利用容易性、理解容易性、永続性および客観性を挙げている、「Sieckmann v Deutsches Patent und Markenamt [2003] RPC 685 (ECJ)事件の欧州司法裁判所」の判決を指針としている。

http://oami.europa.eu/en/mark/aspects/pdf/JJ000273.pdfでコピーを入手可能)

 2009年2月に、登録官は、非伝統的商標の出願および審査に関するガイドラインを発表した。これらのガイドラインは、下記のURLにおいて入手できる。

http://www.cipc.co.za/files/3713/9401/0552/NOTICE_NON_TRAD_MARKS_FEBR_09_PJ.pdf

 商標法第42条および第43条に従い、証明商標および団体商標を登録することも可能である。

 証明商標は、商品または役務の種類、品質、数量、意図される用途、価値または原産地といった特定の特徴に関して、当該商標所有者により証明される商品または役務と、その証明対象ではない商品または役務とを識別できるものでなければならない。証明商標は、登録対象の商品または役務を売買する者の名義で登録することはできない。なぜならそのような者は、独立した認証機関として行動できないためである。

 団体商標は、団体のメンバーである者の商品または役務と、メンバーではない者の商品または役務とを識別できなければならない。団体商標は、当該商標を使用する団体の管理機関として行動する者または事業体が所有できる。

 

2.分類

 南アフリカでは、指定する分類ごとに別々の出願を提出する必要がある(複数分類の出願は認められていない)。商品および役務の分類に関して、南アフリカはニース協定には加盟していないが、世界知的財産機関(WIPO)の商品およびサービスの国際分類(ニース国際分類第10版)を採用している。

 南アフリカの登録官は、類見出し(クラスヘディング)による出願を認めており、南アフリカではかなり広範な指定商品または役務で出願されるのが一般的である。しかし、かかる指定商品または役務により保護されるすべての商品または役務に関して所有者が商標を使用しない場合、または使用する意思がない場合は、部分的に取り消されるおそれがある。

 

3.手続および必要書類

3-1.調査

 商標出願する前に、使用可能性および登録可能性を確認するための調査を行うことが推奨される。調査を行う際には、誤認混同が生じる商標を特定するために考慮すべき様々な要素が存在するため、南アフリカの商標専門の代理人に調査の実施と報告を依頼することが望ましい。類似商標の調査を行う場合、一般の人が利用可能なオンライン商標データベースは存在しない。同一商標の調査については、下記のリンクを通してCIPCにアカウントを登録することにより実施できる。http://esearch.cipc.co.za/

 

3-2.出願

 上記の調査結果に問題がなければ、出願人は出願用の書式TM1を作成する必要がある。書式TM1は、プレトリアにあるCIPCに書面で提出するかまたは電子的手段によりhttp://www.cipc.co.za/index.php/trade-marks-patents-designs-copyright/trade-marks/ho/に提出することができる。出願人の選任した代理人が書式TM1を提出する場合は、委任状も必要となる。委任状については、公証または領事認証の必要はない。また、委任状提出遅延の追加料金を支払わなくても済むように、委任状のコピーを出願書類に添付して提出することもできる。ただし、商標登録を許可される前に、署名済み委任状の原本を登録官に提出しなければならない。

 さらに、パリ条約に基づく優先権主張を伴う南アフリカ出願を行う場合、別の法域(条約国)における出願日から6か月以内であれば、当該法域における出願の優先権を主張することが可能である。優先権主張を行う場合は、優先権の証明は、南アフリカ出願と同時に、または南アフリカ出願の出願日から3か月以内に提出しなければならない。

 

3-3.審査

 出願は、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由の双方について審査される。登録されるためには、商標は少なくとも下記の要件を満たしていなければならない。

 (1)識別性がなければならない(本来的識別性または使用により獲得された識別性のいずれか)

 (2)第三者の先行権利に抵触してはならない

 商標法第10条は、登録できない商標の内在的および外在的特徴を規定している(商標法のコピーが示されたhttp://www.cipc.co.za/index.php/legislation/acts/を参照)。

 出願の審査は、商標局への出願から約9‐12ヵ月を要する。

 商標が審査された後、拒絶理由がなかった場合に登録官は、商標登録を認可する。商標登録を認可されない場合には、追加の条件を満たすよう指令書を送達するか(追加条件としては、商標の連合、権利不要求、事実承認、色彩の説明文、委任状の提出など)、または拒絶理由通知書を送達する(主に商標に識別性がない、または第三者の先行権利と抵触する場合)。

 

 無条件の登録認可

  拒絶理由がない場合、商標出願は特許公報(南アフリカでは商標の公告も特許公報に掲載される)で公告される。

 

 指令書

  登録官からの指令書に対して、出願人は応答するか、または応答期限を3ヵ月延長することができる。この期限延長は一度に3ヵ月間、何度でも無制限に延長することができる。指令書への応答には、書面の提出または非公式のヒアリングにおける口頭陳述で行う。

 

 拒絶理由通知書

  登録官へ意見書を提出した後、拒絶理由が克服されない場合、当該商標出願は拒絶査定となる。

 

 登録認可の後、当該商標出願は、異議申立のために特許公報(毎月最後の週に発行される)において公告される。出願人は公告申請しなければならず、登録官により自動的に公告されることはない。ただし、日本からの出願の場合は、現地代理人が出願人に知らせずに、代行して処理を進める事も多い。通常は、出願人による公告申請受理後、1‐3ヵ月以内に認可された出願は公告される。出願に対する異議申立期間は、公告日から3ヵ月間である。

 異議申立されなかった場合、登録官は、3ヵ月の異議申立期間の満了後9‐12ヵ月以内に登録証を発行する。

 

3-4.権利維持

 商標登録は出願日から10年間にわたり有効であり、その後は10年ごとに更新しなければならない。更新出願の遅延については、6ヵ月の猶予期間が与えられる。遅延の場合、追加料金を納付しなければならないことに注意が必要である。

 更新登録料の不払いが意図的なものではなく、管理上の過誤の結果である場合、当該商標権者は商標登録の回復を申請することができる。ただし、回復申請日の時点で、抵触する第三者の権利がないことを条件とする。

 商標の更新出願時または回復請求時に使用証拠を提出する必要はないが、あらゆる利害関係者は、先行する5年間にわたり商標が使用されていない場合には、当該商標登録の取消を請求することができる。他の取消の理由については、以下に論じる。

 

4.異議申立手続

 異議申立の根拠は、商標法第10条に規定されている。出願の公告日から3ヵ月間に、あらゆる利害関係者は当該出願に異議を申し立てることができる。異議申立人の要求に応じて、登録官は自動的に追加3ヵ月間の異議申立期限の延長を与えられる。ただし、以後のすべての期限延長は、両当事者間の合意がある場合に限られる。通常、両当事者が和解交渉を行う場合は、3ヵ月ごとに期限延長を申請するのが一般的である。異議申立手続の流れは、以下のとおりである。

 (1)異議申立人による異議申立書の提出

 (2)出願人による答弁書の提出

 (3)出願人による答弁証拠の提出

 (4)異議申立人による弁駁書の提出

 (5)ヒアリングの設定

 

 商標局における未処理件数が多いため、登録官はすべての異議申立事件のヒアリングを南アフリカ高等裁判所に付託する方針を取っていることに注意が必要である。このような状況において、異議申立事件がヒアリング段階になると、登録官は付託書を含む事件ファイルのコピーを異議申立人に提供し、登録官は高等裁判所に異議申立事件を付託する。高等裁判所に付託した際には、主張の要点を作成し、裁判所において論争するための法廷弁護士または顧問弁護士を選任する必要がある。

 

5.取消手続

 商標法第27条に基づき、商標登録は不使用を理由に、全部または一部が取り消される可能性がある。下記の場合、不使用とみなされる。

 (1)指定商品および指定役務に関して商標を使用する出願人の善意の意思がないままに商標が登録され、実際にこの意味で使用されなかった場合

 (2)取消請求日の3か月前までに、登録証の発行日から5年以上にわたり商標が使用されなかった場合

 (3)2年以上前に商標の所有者が死亡した(自然人)、または解散しており(法人)、商標を譲渡する申請もされなかった場合

 

 上記以外にも、商標登録が商標法第10条に記載されたいずれかの根拠に該当するという事実により、商標が不当に登録された場合、または登録後に普通名称化する等で、本来の登録要件を満たさなくなっている場合は、商標の取消を請求することができる。取消手続の流れは、異議申立手続と同じである。

 

6.結論

 南アフリカにおける商標手続および制度は、比較的効率よく運用されているが、停電、抗議行動およびストライキ行動といった不測の事態のために、審査結果の入手や書類入手などに遅延が生じることもある。

 登録官は未処理件数の解消に努めているが、現時点では商標出願が登録へ進むまでに約24ヵ月を要している。

■ソース
・南アフリカ商標法
■本文書の作成者
Spoor & Fisher Consulting (Pty) Ltd
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.11.09
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