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タイにおける特許出願の補正

2016年04月06日

  • アジア
  • 出願実務
  • 特許・実用新案

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■概要
PCTまたはパリ条約ルートによりタイ特許出願を行った日から、特許査定通知の発行日まで、出願人は省令に定められた規則および手続に従い、自己の特許出願を補正することができる。ただし、補正は出願当初の発明の範囲を拡大するものであってはならない。
■詳細及び留意点

【詳細】

○明細書、請求項、要約および図面の補正

 特許出願の提出後、審査官は方式要件について審査し、さらにクレームが特許可能であり、明確かどうかについて審査する(予備審査として知られている)。出願はその後、特許庁により発行される公報において公開される。出願人は、当該出願の公開後5年以内に、新規性、進歩性および産業上の利用可能性に関する審査(実体審査として知られている)を審査官に請求することができる。

 特許出願手続(予備審査および実体審査の双方)の過程で行われる補正は、出願当初の発明の範囲を拡大しないことを条件として出願人により自発的に行われる補正(自発補正)、またはオフィスアクションの応答時に行われる補正のいずれかである。後者の場合、オフィスアクションの受領日から90日以内に補正書を提出しなければならない。特許権付与の前のあらゆる時点で、補正は認められる。特許権付与後の自発補正は許されない。

 特許法(B.E.2522)に基づく省令第 21 号(B.E.2542)の規定に従い、出願人が発明の範囲を拡大せずに自己の特許出願の補正を望む場合、出願人は、長官により許可されない限り、出願の公開前に補正請求を提出しなければならない。

 タイ特許庁における特許出願の補正に関する実務は、審査ガイドラインに定められている。審査ガイドラインは、発明の範囲を拡大しないと見なされる補正の例を、以下のように示している。

・審査官により提案されたあらゆる補正。

・発明の理解、調査および審査にとって有益と見なされる詳細を「関連背景技術」の項目に追加し、関連文献を引用する補正。

・クレームを直接裏づけるための詳細な説明の補正、または詳細な説明に直接的な裏づけを見出せるようなクレームの補正。例えば、詳細な説明が50-100℃の範囲の温度を開示している一方で、クレームが70-100℃の範囲の温度を記載している場合、出願人は詳細な説明をクレーム部分に整合させるため70-100℃の範囲の温度に修正することができる。クレームで広い範囲を開示し、詳細な説明で狭い範囲を開示している場合もまた同様である。

・詳細な説明またはクレームをより明確かつ簡潔にするための補正。

・誤訳の訂正。

 また、審査ガイドラインは、発明の範囲を拡大すると見なされる補正の例を、以下のように示している。

・新規事項を詳細な説明に取り入れること、または出願当初の詳細な説明には開示されていない新規事項をクレームに記載すること。例えば、詳細な説明で、容器を製造するための構成要素からなる容器製造装置を開示しており、これがクレームに記載されている場合に、後で出願人が当該容器の製造方法を詳細な説明に追加する、または当該方法をクレームに記載することを望めば、そのような補正は、当該発明の範囲を超える新規事項を追加すると見なされる。

・その発明の開示から当業者が予期しないものをもたらすようなあらゆる補正。例えば、様々な成分からなるゴム組成物が、出願当初の明細書およびクレームにそれぞれ開示および記載されている場合に、後で出願人が開示していない特定の成分を追加し、その特定の成分をクレームに記載すると、その追加は当該発明の範囲を拡大すると見なされる。

 別の例として、弾性支持体に設置された装置が、その弾性支持体の特性を具体的に記載することなく出願当初のクレームおよび詳細な説明に開示されていた場合、後に出願人が詳細な説明およびクレームにおいて「弾性支持体」という用語を「巻きバネ」に差し替えると、この差し替えは、当該発明の範囲を拡大すると見なされる。

 クレームに記載された発明に対して、出願当初には開示されていなかった新規な技術的効果をもたらすような補正は許されない。

 逆に、詳細な説明またはクレームを明確にするためだけの補正であり、出願当初に開示された内容と本質的に同一であると当業者が明確に認識または理解することを、出願人が証明できるのであれば、上記に例示された補正であっても許される。例えば、「弾性支持体」から「巻きバネ」への用語の差し替えは、当業者が図面に照らして「弾性支持体」は「巻きバネ」であると見なすことができるのであれば、許される。

 出願人により行われた補正が省令を満たしていないと審査官が判断する場合、審査官は、その旨の拒絶理由を出願人に通知する。

 審査官は実体審査において、タイ特許出願のクレームがUS、AU、EP、JPまたはCNなどの審査国で発行された対応外国特許の特許可能と判断されたクレームと一致しているかどうか、さらに選択された対応外国特許の審査結果に照らして、当該出願のクレームがタイ特許実務に基づき新規性があるか、進歩性があるかを審査する。タイ特許出願のクレームは、実体審査の請求時に自発補正として、上記の国における特許可能と判断されたクレームと一致するように補正することができる。さらに実体審査請求が提出された後、オフィスアクションへの応答時に補正することもできる。

 選択された対応外国特許の特許可能と判断されたクレームと同等であるタイ特許出願のクレームが、タイ特許省令を満たしていない場合、審査官は、その拒絶理由を出願人に通知する。例えば、選択された対応外国特許のクレームと一致するように補正されたタイ特許出願のクレームが、タイでは許容されない多項従属クレーム形式である場合、審査官はオフィスアクションを発行し、多項従属クレームを他のクレーム形式に補正するよう要求する。

 選択された対応外国特許の審査結果には説得力がないと審査官が判断した場合、審査官は、別の新規性または進歩性に関する拒絶理由を示す。出願人は、先行技術と区別されるように発明の範囲を減縮することによりクレームを補正する、またはより限定されたクレーム範囲を有する別の対応外国特許と一致するようにクレームを補正することができる。ただし、補正されたクレームは、出願当初の開示された内容への直接的な裏づけがなければならない。

 

○出願人、発明者の氏名および住所、譲渡に関する訂正

 発明者の氏名および住所、出願人の名義変更を証明する書類、譲渡証書、当該発明に対する出願人の権利を正当化する陳述書、または委任状が、出願時に不正確であった場合、特許庁は出願人に通知し、当該通知の受領日から90日以内に補正書を提出し、補正のための所定の料金を支払うよう要求する。

 出願係属中または特許権付与後に出願が他者に譲渡された場合、他者への出願譲渡に関する手続を特許庁に対して速やかに行うことが推奨される。譲渡証書と一緒に、譲受人により署名された委任状を提出しなければならない。この手続の期限は存在しない。

 

○出願変更

 特許または小特許の出願人は、特許出願が特許庁に係属中(登録前)であれば特許出願を小特許出願へ変更することができる。この出願変更では、省令に定められた規則および手続に従い変更前の出願日が有効に存続する。

■ソース
・タイ特許法
・特許法(第2号) B.E. 2535(1992年)
・特許法(第3号)B.E. 2542 (1999年)により改正された特許法B.E. 2522(1979年)の第20条
・特許法に基づき公布された省令第21号(B.E. 2542)
・特許および小特許出願審査ガイドラインB.E. 2555(2012年)である。
■本文書の作成者
Domnern Somgiat & Boonma Law Office
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.02.12
■関連キーワード
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