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マレーシアにおける証明商標制度

2016年03月18日

  • アジア
  • 出願実務
  • 商標

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■概要
マレーシアにおける証明商標は、1976年商標法第56条XI部の規定に従い、マレーシア知的財産局(Intellectual Property Corporation of Malaysia : MyIPO)に登録することができる。証明商標の登録出願は、通常の商標の場合と同じ書式により提出されるが、出願人は、出願書(フォームTM5)において証明商標である旨を記載するとともに、案件説明書および商標使用管理運用規則案を添付しなければならない。証明商標の登録が認可されると、当該商標の登録要件および証明制度の種類および管理にかかる不備等を根拠とする第三者による異議申立のために公告される。
■詳細及び留意点

【詳細】

 商品またはサービス(役務)の出所または販売元を表示するために用いられる通常の商標と異なり、証明商標は、その商標を付した商品またはサービスが当該証明商標の所有者の特定する一定の基準を満たし、または一定の品質もしくは特質を有していることを表示するために用いられる。証明商標の所有者は、自らはその商標を使用せず、自らの定める一定の基準を満たす第三者の商品またはサービスにつき、第三者が商品またはサービスに関連して証明商標を使用する許可を与える権限を有する。

 国際的な証明商標の例としてCEマークがあり、このマークを付した製品が欧州の健康・安全基準などEUの制定法を順守していることを示すものである。マレーシアでよく知られている証明商標として、SIRIM QASマークがあり、SIRIM QAS Internationalの認証制度における要件を満たした製品において使用されている。

 証明商標は、1976年商標法第56条XI部の規定に従い、マレーシア知的財産局(Intellectual Property Corporation of Malaysia : MyIPO)に登録することができる。

 

(1)証明商標の登録要件

 MyIPOに証明商標を登録するための要件は、商標法第56条に以下のように規定されている。

・証明商標は、その所有者が原産地、材料、製造方法、品質、精度その他の特質を証明する商品またはサービスが、証明のなされていない商品またはサービスとの取引における識別力を有していなければならない。

・証明商標の所有者は、証明がなされる種類の商品またはサービスの取引を実施していてはならない。

・所有者は、当該証明商標の登録がなされる商品またはサービスの証明を行う資格と能力を有していなければならない。

・登録局の要求を満たす証明商標の使用に適用される一連の規則がなければならない。

・証明商標の登録は、公衆の利益にかなうものではければならない。

 

(2)証明商標の登録手続

 証明商標の登録出願は、通常の商標の場合と同じ書式により提出されるが、出願人は、出願書(フォームTM5)において証明商標である旨を記載しなければならない。出願人は通常、製造業者団体、政府機関または技術研究機関であり、関連する商品の売買を行わず、厳格な基準を設定し、基準が守られていることを管理する能力を有する必要がある。証明商標の出願は、1区分のみの商品またはサービスについての出願でなければならない。

 証明商標出願には、案件説明書および商標使用管理運用規則案が添付されていなければならない。この書類には、証明制度に関する情報、証明の管理や監督方法、および商標使用管理運用規定を記載しなければならない。案件説明書および商標使用管理運用規則案は、通常の審査を受けた後に提出することもできる。

 審査官はまず、商標の識別力につき審査を行い、先行商標調査を行う。この手続は、通常の商標登録出願の審査に類似している。識別力に関しては、審査官は、本来的識別力を有するか否か、実際の商標の使用態様やその他の状況により、識別力を有するか否かを判断する。

 証明商標における識別力の基準は、通常の商標の場合と異なる。証明商標は、一定の品質または特質につき証明がなされた商品またはサービスを、そのような証明のなされていない商品またはサービスと識別できるものでなければならない。一方、通常の商標は、その商標を付した商品またはサービスが特定の取引元を出所とするものと識別できるものでなければならない。この点に関し、地理的名称または記述的用語は、通常の商標として登録不能な場合であっても、証明商標として登録できる場合がある。

 先行商標出願または登録商標の調査も行われる。証明商標と誤認混同を生じさせるほど類似する通常商標の先行出願がある場合、その通常商標は証明商標の登録を阻止することができる。一方、証明商標が登録された場合も、その登録された証明商標と同一または誤認混同を生じさせるほど類似する通常商標または別の証明商標がその後出願された場合に、登録を阻止することができる。

 証明商標が上記の登録要件を満たしている場合、審査官は次に、証明商標登録のための追加要件を検討する。出願人が案件説明書および商標使用管理運用規則案を提出していない場合、審査官はこれらの提出を求める。

 審査官は、登録されるすべての商品につき出願人が証明を行う能力を有しているかを判断するために案件説明書を審査し、さらに、追加情報を求めたり、案件説明書の修正を求めたりすることができる。

 審査官はまた、商標使用管理運用規則案が十分なものであるかを検討する。この検討に際して、商標審査基準では商標使用管理運用規則が次のようなものであるべきと定めている。

・当該商標が証明する特質を明確に規定していること

・運用管理能力を有するいかなる者も商標の使用許可を申請する申請人となれることを保証すること

・許可申請が拒絶された場合、不服を申し立てる権利を定めていること

 

 次に審査官は、出願の登録を拒絶するか、登録を認めて商標使用管理運用規則案を承認する(修正または条件付きか否かを問わない)ことができる。審査官が出願を拒絶するか、条件または修正を課す意向を有する場合、最終的な決定を下す前に、まずは出願人に対して意見を述べ商標使用管理運用規則案について修正する機会を与える。

 出願した証明商標に「証明商標(certification trade mark)」の文言が含まれない場合、審査官は、当該文言を含めるよう出願人に求めるか、次の条件を課すことができる。「本商標の登録は、本商標の使用の際には必ず「証明商標」という文言を近くに併記することを条件とする。」

 証明商標の出願が複数の区分について提出される場合、審査官は、商品またはサービスの説明が同じか否かにかかわらず、登録の条件として、すべての出願が関連づけられるよう求める。

 証明商標の登録が認可されると、第三者による異議申立のために公告される。異議申立の対象は、当該商標の登録要件または証明制度の種類および管理、またはその両方である。

 第三者の異議申立がない場合、または出願人が異議申立理由を解消することができた場合、当該証明商標は登録手続へと進む。この後に商標使用管理運用規則案の変更が生じた場合、所有者はMyIPOに対し変更を申請することができる。

 

(3)証明商標の登録により付与される権利

 登録証明商標の所有者は、当該商標が登録された商品またはサービスに関して当該商標を使用する排他的権利を有する。所有者の排他的権利は、登録証明商標と同一もしくは誤認混同を生じさせるおそれがあるほど酷似している商標を、所有者の許可なく、登録されている商品に関して使用する場合は侵害行為とみなす。

 

(4)登録証明商標の取消

 裁判所は、審査官または「被害者(person aggrieved)」のいずれかによる申立により、次のいずれかの理由に基づき登録簿の証明商標を取消または変更することができる。

・登録された所有者が、当該商品またはサービスの証明を行う能力を有しなくなった。

・登録された所有者が、提出された商標使用管理運用規則のうち、自己が順守すべき事項につき順守しなかった。

・当該商標が登録されていることが公衆の利益でなくなった。

・当該商標の登録が維持される場合、公衆の利益のためには商標使用管理運用規則の変更が必須であるが、実施しなかった。

 

【留意事項】

・国益または公益が理由の場合は、証明商標登録のための早期審査を求めることができる。

・「被害者」には、証明制度への参加を不当に拒否された者が含まれる。

■ソース
・マレーシア商標法
・マレーシア商標規則
・マレーシア商標法および実務マニュアル第2版
■本文書の作成者
SKRINE (マレーシア法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.01.27
■関連キーワード
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