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日本とシンガポールにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較

2015年10月02日

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■概要
シンガポールにおける意匠出願の新規性喪失の例外規定の適用要件は、意匠法第8条に規定されている。日本の規定とは異なっており、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に基づいた公開に対しての例外規定は適用されない。ただし、国際的な博覧会での展示に関しては、開催後6ヵ月以内に出願することを条件として、新規性喪失の例外を主張することが可能である。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の新規性喪失の例外

 日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下の通りである。

 

1 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(第4条第1項)または

2 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(第4条第2項)

 

上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。

(1)意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること

(2)意匠が最初に公開された日から6ヶ月以内に意匠登録出願をしていること

 

なお第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。

(3)出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(第4条第3項)。

(4)出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(第4条第3項)。

 

「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開された意匠の内容等)とともに、その事実を客観的に証明するための署名等を記載することが必要である。上記要件を満たした場合、その意匠登録出願に限り、その公開意匠は公知の意匠ではないとみなされる。

条文等根拠:意匠法第4条

 

日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外

1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、同条第一項第一号または第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。

 

2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠または商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号または第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、前項と同様とする。

 

3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

 

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シンガポールにおける意匠出願の新規性喪失の例外

シンガポール意匠法第8条に新規性喪失の例外に関する規定が存在する。シンガポールでは、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に基づいた公開に対して例外規定は適用されない。ただし、国際的な博覧会での展示に関しては、開催後6ヵ月以内に出願することを条件として、新規性喪失の例外を主張することが可能であるが、国際的な博覧会の条件として、公式のまたは公式的に認められた国際博覧会という一定の条件がある。その場合は開示情報を含めた陳述書の提出が必要である。

条文等根拠:意匠法第8条、意匠規則17

 

シンガポール意匠法 第8条 機密の開示等に関する規定

(1)以下の理由のみでは、シンガポール意匠登録出願は拒絶されることはなく、また、シンガポール登録意匠が無効とされることはない。

(a)出願人/意匠権者から第三者になされた意匠の開示であって、その第三者による意匠の使用または開示が信義則に反するとされるような状況でなされた開示

(b)出願人/意匠権者以外の第三者により信義則に反してなされた意匠の開示

(c)意匠登録を受けようとする意匠が新規のまたは独創的な織物の意匠の場合は、その意匠を付した商品に対する最初の機密の注文の受領

(d)出願人/意匠権者による政府省庁もしくは庁への、または政府省庁もしくは庁により権限を与えられた審査を行う者への意匠の伝達、またはその伝達の結果なされた事項

 

(2)以下の理由のみでは、シンガポール意匠登録出願は拒絶されることはなく、また、シンガポール登録意匠が無効とされることはない。

(a)意匠の表示または意匠が用いられた物品が、意匠の出願人/意匠権者の同意を得て、国際的な博覧会で展示されたこと

(b)(a)に規定する展示後および博覧会の開催中に、意匠の表示または意匠が用いられた物品が、出願人/意匠権者の同意を得ずに、第三者によって展示されたこと

(c)(a)に規定する展示が行われたがゆえに、意匠の表示が公表されたこと

ただし、シンガポール意匠登録出願が、博覧会開催後6ヶ月以内になされたことを条件とする。

 

(3)本条において、「国際的な博覧会」とは、公式のまたは公式的に認められた国際博覧会で、1928年11月22日にパリで署名された国際博覧会条約の用語、および随時改正または修正される同条約の議定書に該当するものを意味する。

 

シンガポール意匠規則 17 機密の開示に関する陳述

(1)出願人は、自己の出願に対して意匠法第8条の適用を受けようとする場合は、願書にその旨の陳述を記載する。

(2)陳述は次のとおりとする。

(a)自己の出願に関して適用される意匠法第8条の規定を特定する。

(b)開示に関する日付を含め、意匠の開示が行われた状況を説明する。

(c)出願人が、自己の出願に対して意匠法第8条(2)の適用を受けようとする場合は、博覧会の名称および開催日、開催場所ならびに意匠の最初の開示日

(3)出願人は、自己の主張を裏付ける追加の情報または書類を提出することができる。

 

日本とシンガポールにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較

 

日本

シンガポール

新規性喪失の例外の有無

公知行為の限定の有無

国際的な博覧会

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における意匠の新規性喪失の例外については、下記のとおりである。

 

意匠の新規性喪失の例外に関する各国比較

新規性例外の有無

例外期間

例外期間の起算日

公知行為の限定の有無

JP

6ヶ月

公開日

BR

180日間

公開日

CN

6ヶ月

公開日

HK

6ヶ月

公開日

ID

6ヶ月

公開日

IN

6ヶ月

公開日

KR

6ヶ月

公開日

MY

6ヶ月

公開日

PH

6ヶ月

公開日

RU

12ヶ月

公開日

SG

6ヶ月

公開日

TH

12ヶ月

公開日

TW

6ヶ月

公開日

VN

6ヶ月

公開日

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.03

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