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インドネシアにおける商標異議申立制度

2017年06月06日

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■概要
インドネシアでは、商標出願に対する異議申立は、2016年11月25日に発効した新しい「商標及び地理的表示法」に規定されている。商標出願は、全ての方式要件を満たした時点で出願日を付与され、遅くとも出願日の15日後から始まる2ヵ月の公告期間に異議申立が可能である。出願人は、異議申立書の写しの送達日から2ヵ月以内に答弁書を提出することができる。答弁書の提出期限から1ヵ月以内に、当該出願の実体審査において、異議申立書および答弁書が審査資料として検討される。
■詳細及び留意点

 インドネシアにおいて、商標出願に対する異議申立は、新しい「商標及び地理的表示法」第20/2016号(以下、「新商標法」)第14条、第15条、第16条および第17条に規定されている。以下に述べる異議申立手続は、2016年11月25日から実施されている。

 

 異議申立は、商標出願の公告期間中に提起することができる。新商標法第13条に従い、商標出願は全ての方式要件を満たした時点で、出願日を付与される。法定の公告期間は、遅くとも出願日の15日後から始まる2ヵ月間である。

 

 商標出願が認可されると、インドネシア知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property Rights;以下、「DGIP」)は商標公報およびDGIPのウェブサイトにおいて出願を公告する。公告は、2ヵ月間にわたり実施される。

 

 新商標法第16条(1)項に従い、上記の公告期間中に、何人も、DGIPに書面による異議申立を提起することができる。異議申立の際には、オフィシャルフィーを支払わなければならない。

 

 異議申立の際に要求されるオフィシャルフィーは、法務人権省 (Ministry of Justice and Human Rights Affairs)内で適用される非課税収益の種類および料金に関する2016年政令第45号に定められており、金額は商標出願1件につき100万ルピアである。

 

1.異議申立の理由

 

 異議申立の理由は、新商標法に下記のように規定されている。

 

a.新商標法第20条:

 

 商標が下記のいずれかに該当する場合、その商標は登録できず、拒絶される。

(a)国家のイデオロギー、法規、道徳規範、宗教、倫理または公序良俗に反するもの。

(b)登録対象の商品または役務に類するもの、これを説明するもの、またはその単なる言及にすぎないもの。

(c)登録対象の商品または役務の出所、品質、型式、サイズ、種類もしくは使用目的について、または類似の商品または役務に関して保護されている植物品種の名称について、公衆を誤認させるおそれのある要素を含んでいるもの。

(d)生み出された商品または役務の品質、恩恵または効能と一致しない情報を含んでいるもの。

(e)識別性を有する特徴がないもの。

(f)一般名称または公有財産の象徴となっているもの。

 

b.新商標法第21条:

 

(1)商標の要部または全体が下記のいずれかと類似する場合、その商標は拒絶される。

 

(a)同じ種類の商品または役務に関して既に登録または出願されている、他者により所有される商標と類似する場合。

(b)同じ種類の商品または役務に関して他者により所有される周知商標と類似する場合。

(c)特定の条件を満たすことを前提として、同じ種類ではない商品または役務に関して他者により所有される周知商標と類似する場合。

(d)既知の地理的表示と類似する場合。

 

(2)商標が下記のいずれかに該当する場合、その商標は拒絶される。

 

(a)有名人の名前、略称、写真または他者が所有する法人の名称に相当する、またはこれと類似するもの。ただし、正当な権利者の書面による同意がある場合を除く。

(b)国家または国内もしくは国際機関の名称、略称、旗、紋章、シンボルまたは象徴を模倣する、またはこれと類似するもの。ただし、管轄当局の書面による同意がある場合を除く。

(c)国家または政府機関により使用される公的な標識、印章または証印を模倣する、またはこれと類似するもの。ただし、管轄当局の書面による同意がある場合を除く。

 

(3)出願人が悪意をもって提出した商標出願は、拒絶される。

 

(4)上記(1)の(a)から(c)に言及された商標出願の拒絶に関連する追加の規定が、政令により定められている。

 

2.異議申立の内容

 

 新商標法第16条(2)項に従い、異議申立は、十分な理由と共に、出願商標が新商標法に基づき登録されるべきではない、または拒絶されるべきであることを証明する証拠を提出することができる。

 

 異議申立は、異議理由を示す異議申立書に異議理由を裏付ける証拠を添付して提出される。異議申立を提出する際に必要な証拠の量に関する規定は存在しない。異議申立時に提出されなかった追加の証拠がある場合、異議申立人は、異議申立日から2週間以内であれば追加証拠を提出することができる。

 

3.異議申立の手続期間

 

 新商標法第16条(3)項に従い、異議申立が提出されると、DGIPは異議申立を受領した日から遅くとも14日以内に、異議申立書の写しを出願人に送付する。

 

 出願人は、DGIPから送付された異議申立書の写しの送達日から2ヵ月以内に、異議申立に対する答弁書を提出することができる(新商標法第17条(2)項)。

 

 新商標法に定められた異議申立手続は、3つの段階からなる。第1段階は異議申立人による異議申立書の提出であり、第2段階は出願人による答弁書の提出であり、最後の段階はDGIPにより下される異議決定である。さらに、異議申立人および出願人は、異議申立書または答弁書について説明するために、DGIPにヒアリングを要求することができる。ヒアリングはDGIPにおいて行われる。

 

 DGIPは、答弁書の提出期限から1ヵ月以内に、当該出願の実体審査において、異議申立書および答弁書を審査資料として検討する(新商標法第23条(2)項および(4)項)。

 

 DGIPは、公告期間の満了日もしくは答弁書提出期限から150営業日以内に当該出願の実体審査を完了する。

 

 審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できないと判断した場合、DGIPは出願人に対し、当該出願は登録できない、または拒絶される旨を書面で通知する。その場合、出願人は、当該通知の送達日から30日以内に応答する機会を与えられる(新商標法第24条(3)項)。

 

 審査官が実体審査の結果、商標出願を認可できると判断した場合、当該出願は商標登録簿に登録される(新商標法第24条(5)項)。

 

 DGIPは、実体審査の結果について、異議申立人にも書面で通知する。

 

4.異議申立の取下げ

 

 異議申立人は、審査官が出願の実体審査結果を決定する前であれば、DGIPに対して、異議申立の取下げ書を提出することができる。異議申立を取り下げる一般的な理由としては、異議申立人と出願人との間で、商標譲渡契約、共存合意契約などを締結した場合が挙げられる。

 

5.審査官の拒絶査定に対する不服

 

 審査官の拒絶査定に対して不服がある場合、出願人は、商標審判委員会に審判請求を提起することができ、その写しは、オフィシャルフィーの支払いをもってDGIPに送付される(新商標法第28条(2)項)。

 

 審判請求書は、出願の拒絶査定の送達日から3ヵ月以内に提出しなければならない(新商標法第29条(1)項)。

 

 異議申立人が審査官の決定を不服とする場合、商務裁判所に取消訴訟を提起することができる。

■ソース
・インドネシア商標及び地理的表示法第20/2016号
・法務人権省内で適用される非課税収益の種類および料金に関する2016年政令第45号
■本文書の作成者
Acemark Intellectual Property
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2017.01.16

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