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インドネシアにおける特許出願の実体審査と特許庁からの指令書に対する応答期間

2016年04月28日

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■概要
インドネシアにおける特許出願の特許庁からの指令書に対する応答期間について解説する。実体審査において、特許が請求されている発明が不明瞭、新規性なし、進歩性なし、またはその他の拒絶理由が含まれていると判断される場合、出願人に対して、拒絶理由に対する意見または補正を求める指令書を発行する。第1回目の指令書に対しては、出願人は、通知から3ヶ月以内に応答書を提出しなければならない。特許法は、期限延長については規定がなく、期限延長を認めるか否かは審査官の裁量に委ねられている。
■詳細及び留意点

【詳細】

1. 方式審査に対する応答期間

 インドネシアにおいて、特許出願されると、インドネシア特許庁(以下、特許庁という。)は方式的要件が満たされているか否かの方式審査を行う。方式的要件に不備がある場合、特許庁は出願人に対し(なお、代理人がある場合には代理人、以下、単に出願人とする)、当該不備を補完するよう通知する。出願人は、通知の日付から3ヶ月以内に当該不備を補完(出願時に準備できなかった補正を含む追加の書面を提出すること)しなければならない。この補完期限は、出願人の申請により2ヶ月延長することができる。また、追加の手数料を納付することを条件にさらに1ヶ月の延長も可能である。

 

2. 審査請求期間

 特許出願の実体審査は実体審査請求を待って行われる。出願人はインドネシア特許法(特許に関する法律第14/2001号、以下、特許法という)第48条(1)に定める通り、手数料を納付し、特許庁に実体審査を請求しなければならない。実体審査請求のできる期限は、出願日から36ヶ月以内である(特許法第49条(1))。なお、出願公開後6ヶ月の異議申立期間(特許法第44条)の経過前に実体審査が請求された場合であっても、当該異議申立期間の経過後に実体審査が着手される(特許法第49条(4))。

 

3. 実体審査の応答期間

 公開後6ヶ月の異議申立期間内には、何人も、特許出願に対する異議申立を提出することができる(特許法第45条)。異議申立が提出された場合、当該異議申立の内容は、実体審査において、審査官が内容検討を行い、審査報告書の参考資料または判断資料として使用される。

 特許法第54条に基づき、特許出願に対する特許付与または拒絶の決定は、実体審査請求の日から36ヶ月以内になされなければならない。ただし、実体審査請求が公開期間満了前に行われた場合には、異議申立期間の経過から36ヶ月以内に上記決定がなされなければならない。小特許(実用新案)の場合は、出願日から24ヶ月以内になされなければならない。

 

4. 実体審査の内容

 実体審査は、原則インドネシア特許庁の審査官により行われるが、特許法第50条(1)の規定により、特許庁が外部の専門家や他国の特許庁の審査官の支援を要請することもできる。

 実体審査において、特許法第52条(1)に基づき、審査官は審査報告書を作成する。特許が請求されている発明が不明瞭、新規性なし、進歩性なし、またはその他の拒絶理由が含まれていると判断される場合、出願人に対して、拒絶理由に対する意見または補正を求める指令書を発行する。

 指令書には、出願人の明細書に対する審査官からのコメントが記載される。第1回指令書に対しては、出願人は、通知から3ヶ月以内に応答書を提出しなければならない。第2回指令書が発行される場合は通知から2ヶ月以内に、第3回指令書が発行される場合は通知から1ヶ月以内に応答書を提出しなければならない。なお、実務上、最大3回まで指令書が発行される場合があるが、審査官が、出願人のさらなる応答を求めても特許出願は特許要件を満たさないと判断した場合、第1回目の指令書の後でも、審査官は拒絶査定を発行する場合がある。

 なお、出願人が期限内に応答することができない場合、出願人は、審査官にその旨を説明し、期限延長を請求することができる。特許法は、期限延長については規定がなく、期限延長を認めるか否かは審査官の裁量に委ねられている。

 指令書において、拒絶理由の記載は、問題となる請求項や記載部分の指摘とともに通知される。さらに、審査官から、拒絶理由を解消するための提案を行うことができる。

 また、その特許出願の発明が既に他国において特許が付与されている場合には、後述のとおり、審査官から出願人に対して、係属中の出願を対応国で登録された特許に一致させるように提案することもできる。発明が単一性を満たさない場合、分割出願を行うよう提案することもできる。

 出願人の応答で拒絶理由が解消されていないと審査官が認める場合、さらに、第2回目以降の指令書を発行することができる。審査官が、出願人のさらなる応答を求めても特許出願は特許要件を満たさないと判断した場合、審査官は拒絶査定を発行する。拒絶査定を不服とする場合、出願人は、拒絶査定の送付の日から3ヶ月以内に、当該拒絶査定に対して審判請求をすることができる。

 一方、指令書に対する応答により、拒絶理由が解消されたと認められる場合、特許査定が送付され、その後の特許付与の段階へと移行する。

 

5.  指令書への応答の実務上の留意点

 指令書への応答の実務上の留意点として、以下が挙げられる。

 (1)審査官の提起するすべての拒絶理由に応答しなければならない。

 (2)出願人は、クレームを補正すること、またクレームに記載された発明と引用文献と相違を主張することができる。

 (3)明細書の補正が可能であるが、新規事項を追加することはできない。

 (4)出願人は、審査官との面談(電話面談も含む)を行うことができる。

 (5)応答期限内に指令書に応答しなかった場合、出願は取り下げたものとみなされる。

 

6. 優先権を主張する特許出願および国際特許出願(PCTルート)の実体審査

 特許法第28条(2)では、優先権を主張する特許出願について、他国の審査において先行技術調査または実体審査が行われている場合、または特許査定が下されている場合、審査官は、他国の審査結果を参照することができる旨が定められている。外国特許庁の審査結果については、通常、欧州特許庁(European Patent Office)、米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office)、日本国特許庁(Japan Patent Office)およびオーストラリア特許庁(Austrian Patent Office)の結果を参照する。

 PCTルートの場合、審査官は、通常は、国際調査報告、見解書または国際予備審査報告を、発明の特許性を判断するための主たる参考資料として参照する。ただし、これらは審査官を拘束するものではなく、特許査定の可否は、あくまで審査官の判断に委ねられている。審査官は、国際調査報告、見解書または国際予備審査報告の内容にかかわらず、インドネシア特許法に定められた不特許事由(特許法第7条)に関する規定を考慮して特許査定の可否を判断しなければならない。

 

7. 特許審査ハイウェイプログラム

 インドネシア特許庁は、日本特許庁と、特許審査ハイウェイプログラム(PPH: Patent Prosecution Highway Program)を実施している。日本の出願人は、このPPHプログラムを適用し、インドネシアにおける特許出願において早期権利化を図ることができる場合がある。

■ソース
・インドネシア特許法(特許に関する法律第14/2001号)
■本文書の作成者
BIRO OKTROI ROOSSENO(インドネシア法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2016.2.4

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