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(韓国)進歩性判断における技術分野を幅広く認定した事例

2013年06月25日

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■概要
進歩性判断における技術分野の範囲は、当該発明の属する技術分野に限定するのが一般的である。本件の大法院判決は、引用発明の産業分野が特許発明とは多少異なる側面があったが、その発明の目的における共通点があることに基づき、その技術分野が同一或いは非常に近いため、当業者であれば、引用発明を特許発明に転用ないし用途変更することに格別な困難性がないと判断して、進歩性判断資料を先行技術として認めた事例である。本件判決は、進歩性を否定した原審判決を支持し、上告を棄却した。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 原審の特許法院判決は、この事件の特許発明と引用発明1、引用発明2及び引用発明3とを対比して、進歩性を判断したが、進歩性判断における技術分野の範囲に関して、「進歩性判断の資料としての利用可否」について、次のように判断した。

 「この事件の特許発明は、浄水器又は産業用排水処理用の濾過性及び強度が優秀なセラミックフィルターの製造方法及び製造装置に関するもので、引用発明1は酸化焼成による陶磁器の製造方法に関し、···、引用発明3は半乾式プレス加圧成形法による窯業製品の製造方法とそのプレス成形装置に関するものであるところ、···、この事件の特許発明と引用発明1、3は発明の主構成要素として非金属無機材料を使用していること、製品を生産するため非金属無機材料を成形し焼成する基本工程を経るべきであることと、発明の目的により優秀な強度の製品を生産すること、が含まれている点において共通点があり、窯業というのは陶磁器製造だけを意味するのではなく、硝子、耐火材など色々な分野を含むもので耐火材の場合セラミックフィルターと同様に内部の気孔が製品の品質に影響を及ぼすこと及び、陶磁器の場合にも表面の被覆物質を除いた内部のセラミック組成物はフィルター機能ができることを考慮すると、この事件の特許発明と引用発明1、3はその技術分野が同一或いは非常に近いため、当業者であれば、引用発明1、3をこの事件の特許発明に転用ないし用途変更することにおいて格別な困難性がないといえるので、結局、引用発明らをこの事件の特許発明の進歩性判断の資料として用いることができる。」

 

(2) そして、原審判決は、この事件の特許発明の特許請求の範囲第1項、第3項について、「この事件の特許発明の特許請求の範囲第1項は、公知の既存技術を収集・総合してこれを改良し構成されたものであり、これを総合することに格別な困難性があることやこれによる作用効果が公知の先行技術から予測される効果以上の新たな上昇効果があることが認められないので、進歩性を認めることができない」、「この事件の特許発明の特許請求の範囲第3項は、引用発明3から容易に発明できるものであるので、進歩性を認めることができない」と判断した。

 

(3) 本件の大法院判決は、「以上の記録に照らして検討すると、原審の上記の事実認定及び判断は正当である」として、原審判決を支持し、上告を棄却した。

 

参考(大法院判決2001年6月12日付宣告98후2726【登録無効(特)】より抜粋):

 

1. 상고이유(상고이유보충서는 이를 보충하는 범위내에서)를 본다.

・・・・・

가. 인용발명들을 이 사건 특허발명의 진보성 판단의 자료로 삼을 수 있는지 여부

이 사건 특허발명은 정수기 또는 산업용 폐수처리를 위한 여과성 및 강도가 우수한 세라믹필터의 제조방법 및 제조장치에 관한 것이고, 인용발명 1은 산화소성을 통한 도자기의 제조방법에 관한 것이며, 인용발명 2는 종래의 다공질 자기에 비하여 매우 큰 기공율과 높은 기계적 강도를 갖는 다공질 실리카 자기의 제조방법에 관한 것이고, 인용발명 3은 반건식 프레스 가압성형법에 의한 요업제품의 제조방법과 그 프레스 성형장치에 관한 것인 바, 이 사건 특허발명과 인용발명 2는 목적과 용도가 거의 동일하여 그 기술분야가 동일하고, 또 이 사건 특허발명과 인용발명 1, 3은 발명의 주 구성요소로서 비금속 무기재료를 사용하고, 제품을 생산하기 위하여 비금속 무기재료를 성형하고 소성하는 기본 공정을 거쳐야 한다는 점과 발명의 목적에 보다 강도가 우수한 제품을 생산하는 것이 포함되어 있다는 점에서 공통점이 있으며, 요업이란 도자기 제조만을 의미하는 것이 아니라 유리, 내화재 등 여러 분야를 포함하는 것으로서 내화재의 경우 세라믹필터와 마찬가지로 내부의 기공이 제품의 품질에 영향을 미치고 도자기의 경우에도 표면의 피복물질을 제외한 내부의 세라믹 조성물은 필터의 기능을 할 수 있다는 점을 고려하면, 이 사건 특허발명과 인용발명 1, 3은 그 기술분야가 동일하거나 매우 친근하여 당업자라면 인용발명 1, 3을 이 사건 특허발명에 전용 내지 용도변경함에 별 어려움이 없다 할 것이므로, 결국 인용발명들을 이 사건 특허발명의 진보성 판단의 자료로 삼을 수 있다.

 

나. 이 사건 특허발명의 특허청구범위 제1항의 등록무효 여부

(1) 이 사건 특허발명의 특허청구범위 제1항은 미세한 입도로 분쇄한 세라믹조성물 분말에 점결재를 용해한 수용액 10~30%를 혼합하여 습윤성의 분말을 만들고 이 습윤성의 분말로 반건식법에 의한 프레스 성형에 의하여 미소성 세라믹필터를 얻은 다음 산화분위기에서 900~1300℃의 온도로 소성함을 특징으로 하는 세라믹필터의 제조방법인바, 그 중 ① 세라믹조성물에 유기점결재를 첨가한 후 프레스로 가압성형하여 액체 여과용 세라믹필터를 제조하는 기술은 인용발명 2에 의하여 공지되었고, ② 900~1300℃의 소성온도 범위중 1200-1250℃의 온도에서 도자기를 소성하는 기술은 인용발명 1에 의하여 공지되었으며, ③ 세라믹조성물에 수분을 첨가하는 기술과 세라믹조성물을 산화분위기에서 소성하는 기술은 인용발명 3에 의하여 공지되었다.

・・・・・

(3) 따라서 이 사건 특허발명의 특허청구범위 제1항은 공지의 기존 기술을 수집 종합하고 이를 개량하여 이루어진 것으로, 이를 종합하는데 각별한 곤란성이 있다거나 이로 인한 작용효과가 공지된 선행기술로부터 예측되는 효과 이상의 새로운 상승효과가 있다고 인정되지 아니하므로 진보성을 인정할 수 없다.

 

다. 이 사건 특허발명의 특허청구범위 제3항의 등록무효 여부

(1) 이 사건 특허발명의 특허청구범위 제3항의 프레스 성형장치와 인용발명 3의 프레스 성형장치를 비교하여 보면, 다이스 내에서 상부펀치와 하부펀치로 압력을 가한 후 하부펀치를 위로 밀어 올려 성형품을 배출한다는 점에서 양 발명은 공통점이 있고, 다만 이 사건 특허발명의 경우 상부펀치와 하부펀치가 각각 숫금형과 암금형의 형태를 이룸으로써 성형품의 내부에 공간부를 형성한다는 점에서 차이가 있으나, 원고 스스로도 이 사건 특허발명의 명세서의 도면 제2도에서 필터의 내부에 공간부를 형성시키는 세라믹 성형장치를 종래기술로 도시하고 있듯이 요업분야의 프레스 성형장치에 있어서 원하는 형상의 성형품을 제조하기 위하여 상부 및 하부펀치의 접촉부위의 형태를 변경하는 것은 당업자라면 용이하게 발명할 수 있다.

・・・・・

(3) 따라서 이 사건 특허발명의 특허청구범위 제3항은 인용발명 3으로부터 용이하게 발명할 수 있는 것이므로 진보성을 인정할 수 없다.

 

(日本語訳「1. 上告理由(上告理由補充書はこれを補充する範囲内で)を検討する。

・・・・・

イ.引用発明らをこの事件の特許発明の進歩性判断の資料としての利用可否

 この事件の特許発明は、浄水器又は産業用排水処理用の濾過性及び強度が優秀なセラミックフィルターの製造方法及び製造装置に関するもので、引用発明1は酸化焼成による陶磁器の製造方法に関し、引用発明2は従来の多孔質磁器に比べ非常に高い気孔率と高い機械的強度を有する多孔質シリカ磁器の製造方法に関し、引用発明3は半乾式プレス加圧成形法による窯業製品の製造方法とそのプレス成形装置に関するものであるところ、この事件の特許発明と引用発明2は目的と用途がほぼ同一でその技術分野が同じであり、また、この事件の特許発明と引用発明1、3は発明の主構成要素として非金属無機材料を使用していること、製品を生産するため非金属無機材料を成形し焼成する基本工程を経るべきであることと、発明の目的により優秀な強度の製品を生産すること、が含まれている点において共通点があり、窯業というのは陶磁器製造だけを意味するのではなく、硝子、耐火材など色々な分野を含むもので耐火材の場合セラミックフィルターと同様に内部の気孔が製品の品質に影響を及ぼすこと及び、陶磁器の場合にも表面の被覆物質を除いた内部のセラミック組成物はフィルター機能ができることを考慮すると、この事件の特許発明と引用発明1、3はその技術分野が同一或いは非常に近いため、当業者であれば引用発明1、3をこの事件の特許発明に転用ないし用途変更することにおいて格別な困難性がないといえるので、結局引用発明らをこの事件の特許発明の進歩性判断の資料として用いることができる。

 

ロ.この事件の特許発明の特許請求の範囲第1項の登録無効の可否

(1) この事件の特許発明の特許請求の範囲第1項は、微細な粒度に粉砕したセラミック組成物粉末に粘結剤を溶解した水溶液10~30%を混合し湿潤性の粉末を製造し、この湿潤性の粉末を用いて半乾式法のプレス成形により未焼成セラミックフィルターを得た後、酸化雰囲気で900~1300℃の温度で焼成することを特徴とするセラミックフィルターの製造方法であり、その中、① セラミック組成物に有機粘結剤を添加した後プレスにより加圧成形して液体濾過用のセラミックフィルターを製造する技術は、引用発明2で公知され、② 900~1300℃の焼成温度範囲中1200‐1250℃の温度で陶磁器を焼成する技術は、引用発明1で公知され、③ セラミック組成物に水分を添加する技術とセラミック組成物を酸化雰囲気で焼成する技術は、引用発明3で公知された。

・・・・・

(3) したがって、この事件の特許発明の特許請求の範囲第1項は、公知の既存技術を収集・総合してこれを改良し構成されたものであり、これを総合することに格別な困難性があることやこれによる作用効果が公知の先行技術から予測される効果以上の新たな向上効果があることが認められないので、進歩性を認めることができない。

 

ハ.この事件の特許発明の特許請求の範囲第3項の登録無効の可否

(1) この事件の特許発明の特許請求の範囲第3項のプレス成形装置と引用発明3のプレス成形装置とを比較してみると、ダイス内で上部パンチと下部パンチに圧力を加えた後、下部パンチを上方に押し上げて成形品を排出する点で両発明は共通点があり、ただ、この事件の特許発明の場合、上部パンチと下部パンチが各々凸金型と凹金型の形態になることにより成形品の内部に空間部を形成する点にその差があるが、原告自らもこの事件の特許発明の明細書の図面第2図においてフィルターの内部に空間部を形成するセラミック成形装置を従来技術として図示しているとおり、窯業分野のプレス成形装置において希望形状の成形品を製造するために上部及び下部パンチの接触部分の形態を変更するのは当業者であれば容易に発明することができる。

・・・・・

(3) したがって、この事件の特許発明の特許請求の範囲第3項は、引用発明3から容易に発明できるものであるので、進歩性を認めることができない。」)

 

【留意事項】

 この判決の原審である特許法院判決1998年6月6日付宣告98허2481では、「当該発明の属する技術分野と異なる分野の技術を引用例として進歩性がないと判断することは原則的に許容されず、ただ例外的に当業者が容易に実施できる公知技術の転用ないし用途変更という理由により進歩性を否定する場合には他の技術分野の技術を引用例とすることもできる。当該発明の属する技術分野というのは、原則的に当該発明が利用される産業分野を指すものであるが、その発明の作用効果或いは発明の構成の全部又は一部が有する性質機能から把握される技術分野も含むと看做される。従って、これは特許明細書に記載された発明の名称に限定されなくその発明の目的、構成及び効果を総合し発明の実体を把握した後客観的に判断しなければならない」と説示し、進歩性判断時の技術分野の範囲を幅広く認めている。

 

 最近、進歩性判断時の技術分野に関連した他の判例においても、「特許法第29条第2項で定める『その発明の属する技術分野』というのは、原則的に当該特許発明が利用される産業分野を指す。従って、当該特許発明が利用される産業分野が比較対象発明(引用発明)のそれと異なる場合には比較対象発明を当該特許発明の進歩性を否定する先行技術として用いることが難しくても、問題となった比較対象発明の技術的構成が特定産業分野においてだけ適用できる構成ではなく当該特許発明の産業分野における通常の知識を有する者が特許発明の当面する技術的問題を解決するため格別な困難性がなく利用できる構成であれば、これを当該特許発明の進歩性を否定する先行技術として用いることができる」(大法院判決2011年3月24日付宣告2009후3886、2008年7月10日付宣告2006후2059など参照)と説示し、その範囲を多少幅広く認めている。

■ソース
・大法院判決2001年6月12日付宣告98후2726
■本文書の作成者
正林国際特許商標事務所 弁理士 北村明弘
■協力
特許法人AIP
一般社団法人 日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2013.01.08
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