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中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要

2012年08月27日

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■概要
 商標審査部(中国語「商標局」)による拒絶査定通知・異議裁定・不使用取消決定に不服がある場合は、工商行政管理総局の商標審判部(中国語「商標評審委員会」)に不服審判を請求することができる。不服審判手続は、主に(1)請求人による審判請求、(2)方式審査、(3)被請求人の答弁、(4)答弁に対する弁駁、(5)審判合議体による審理、(6)審決という審判の手順で進められる。請求人は、商標審判部が下した審決に不服がある場合、裁判所に行政訴訟を提起することができる。
■詳細及び留意点

(1) 不服審判請求の種類

 商標審査部(中国語「商标局(商標局)」による拒絶査定通知・異議裁定・不使用取消裁定に不服がある場合は、商標審判部(中国語「商标评审委员会(商標評審委員会)」)に対して不服審判請求する。

 不服審判請求の種類としては下記3種がある。

(i)商標審査部が下した商標登録出願の拒絶査定について、商標法第32条に基づく不服審判事件

(ii)商標審査部が下した異議裁定について、商標法第33条に基づく不服審判請求事件、異議裁定不服審判

(iii)商標審査部が商標法第41条1項(登録商標の取消)、第44条(商標登録の取消)、第45条(登録商標の悪質使用)の規定により下した登録商標の取消決定について、商標法第49条に基づく不服審判事件

 

(2) 審理手続の流れ

中国商標審判フロー

 

 商標審判部(中国語「商标评审委员会(商標評審委員会)」)における審判手続は、主に(i)請求人による審判請求、(ii)方式審査、(iii)被請求人の答弁、(iv)答弁に対する弁駁、(v)審判合議体による審理(vi)審決という手順で進められる。

 

(i)請求人による不服審判請求及び補足

 不服審判請求するとき、商標審判部に書面の請求書類の正本1部を提出すると同時に、相手方がある場合、相手方当事者数に相当する副本を提出しなければならない。また、請求書類を提出した後、証拠を補足する必要がある場合、請求書に声明し、且つ請求日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない。

 上述の法定補足期間は延長不可である。実務では、法定期間を過ぎても、引き続き補足証拠を提出できるが、特別な状況でなければ、審判官の参考資料のみになる(商標法実施条例(以下「実施条例」という)第30条・第31条、商標審判規則(以下「審判規則」という)第23条)。

 

(ii)方式審査

 商標審判部は、審判請求書を受領した後、方式審査の用件を具備するか否か、つまり、請求書と証拠が要求の様式で記載し、提出されたか否かなどを審理する。要件を具備するときは、その請求を受理し、請求人に受理通知書を送付する。要件を具備しないときは、請求人に不受理通知書を送付し、且つその理由を説明する。補正が必要な場合、補正通知書を送付し、それを受領した日から30日以内に補正するよう請求人に通知する(実施条例第30条、審判規則第23条)。

 

(iii)被請求人の答弁

 商標審判部は商標審判の請求を受理した後、相手方がある場合、直ちに請求書の副本を相手方当事者に送達し、受領後30日以内に答弁するよう要求する。期間が満了して答弁しなくても、商標審判部の審理に影響を与えないが、実務上は、この反論のチャンスを利用して、答弁する被請求人が圧倒的に多い。

 証拠を補足する必要がある場合、答弁書に声明し、且つ答弁書の提出日から3ヵ月以内に補足証拠を提出しなければならない(実施条例31条・32条、審判規則第19条・第20条)。

 

(iv)答弁に対する弁駁

 当事者が法定の期間内に提出した証拠資料について、相手方当事者がいる場合は、商標審判部が当該証拠資料を相手方当事者に送付し、指定の期限内に証拠抗弁(中国語「质证(質証)」を行うことを命じることができる(審判規則第20条2項)。

 証拠抗弁手続とは、商標審判部が証拠交換通知書(中国語「证据交换通知书」)を請求人に送付した後、請求人はそれを受領した日から30日以内に、被請求人の答弁書を証拠を反駁できる証拠を提出しなければならないとするものである。なお、提出は1回限りである。

 

(v) 審判合議体による審理

 審理は、原則として合議制を採用する。通常、3名以上の奇数人数の商標審判官により構成される合議体を結成して審理を行う。ただし、審理事実が明らかで、事情状況が簡潔な事件について、商標審判官1名の単独審判を行うことができる(実施条例第33条、審判規則第24条)

 商標審判事件の審理は、原則として書面審理にて行う。ただし、実施条例第33条の規定により公開審判を行うと決定された場合はこの限りでない(「審判規則」第4条)。なお、公開審理の請求は、必ずしも商標審判部に許可されるとは限らない。審判規則第37条によれば、当事者が公開審理を求めるときは、公開審理を行う必要性についての具体的理由を提出しなければならない。よって、商標審判委員会は、当事者が提出した理由が十分であるか否かを考慮し、公開審理を行うか否かを判断することになる。通常は、公開審理を行わず、書面審理が進められる比率が圧倒的に大きい。

 審理を経て終結された事件については、法に基づき決定又は裁定をくだす(審判規則第33条)。商標審判部が下した審決(中国語「裁定」)に不服がある場合、審決を受領した日から30日以内に裁判所に行政訴訟を提起することができる(商標法第32条、第33条、第34条)。

 

(vi)審決

 商標審判部は、請求人と請求人が陳述した理由と提出した証拠を審理し、事実を判明し、法律を適用して審決を下し、書面の審決を当事者双方に送付する。登録商標の維持又は取消決定に不服がある場合には、審決を受領した日から30日以内に、裁判所に対して行政訴訟を提起することができる(「商標法」第43条、「審判規則」第29条)。

 

(3) 証拠提出の留意点

 審判当事者は、請求の事実又は答弁の事実に対して挙証責任を有し、請求時または答弁時には、相応する証拠資料を提出しなければならない。証拠には、書証、物証、視聴資料などが含まれる。

 証拠提出の際には、次の点に留意する必要がある。

(i)当事者が商標審判部に書証を提出するときは、原本を提出しなければならない(審判規則第42条)。全ての証拠について原本を提出することは困難であるが、実務上、重要な証拠は、できるだけ原本又はその公証本を提出すべきである。

(ii)中国以外の領域で形成した証拠は、当該証拠は所在国で公証・認証手続きを行わなければならない(審判規則第43条)。

(iii)外国語証拠を提出するときは、その中国語の翻訳文を添付しなければならない(審判規則第44条)。

■ソース
・中国商標法
・中国商標法実施条例
・中国商標審判規則
■本文書の作成者
一般財団法人比較法研究センター 清水利明・菊本千秋
北京林達劉知識産権代理事務所
■本文書の作成時期

2012.08.10

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