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ASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラム

2014年07月18日

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■概要
2009年6月15日に開始したASEAN特許審査協力(ASPEC)プログラムは、参加地域の特許庁間で特許調査及び審査結果を共有することによって業務の効率化を図る制度であり、加盟国は、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ及びベトナムの9か国である。
■詳細及び留意点

【詳細】 (1) 概要 ASEAN特許審査協力(ASEAN Patent Examination Co-operation, 以下、「ASPEC」という。)プログラムはASEANの特許庁間で特許業務の分担をする制度であり、ASEAN諸国で2009年6月15日に開始し、2012年4月15日に強化されている。このプログラムの目的は、参加庁間で調査及び審査結果を共有することによって重複した業務の削減、調査及び審査時間の短縮、特許審査の質の向上を図ることにあり、あるASEAN加盟地域に出願した特許出願人は、他のASEAN加盟地域の調査及び審査結果を提出することができる。 本稿作成時点における参加国は、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ及びベトナムの9か国である。   (2) ASPECプログラム申請の要件

  • ASPEC申請書が提出されたASEAN加盟地域の特許庁(第2特許庁“second IP Office”)に対して行った特許出願について、他のASEAN加盟地域の特許庁(第1特許庁“first IP Office”)に対しても「同一の特許出願」がなされている場合、この「同一の特許出願」の調査及び審査資料はASPECプログラムのために利用され得る。
  • 第1特許庁における特許出願がパリ条約の優先権により第2特許庁の特許出願とリンクする場合、その逆の場合、あるいは第1特許庁及び第2特許庁における両特許出願が他のパリ条約加盟国に対し同じ優先権を有する場合に「同一の出願」であるということができる。

  「同一の特許出願」の類型は、下記の二種類である(例:ベトナム知的財産庁にASPEC申請書が提出された場合)。 タイプ1 ベトナム出願がマレーシア出願に対して有効に優先権を主張でき、ASPEC申請書がベトナムにおいて提出された場合、ベトナムの審査官はマレーシア出願の調査及び審査結果を参照することができる。 タイプ2 ベトナム出願及びフィリピン出願がともにオーストラリア出願に対し優先権を有効に主張することができ、ベトナムにおいてASPEC申請書が提出された場合、ベトナムの審査官はフィリピン出願の調査及び審査結果を参照することができる。   (3) 手続

  • 他のASEAN地域における出願と「同一の特許出願」を行い、ASPECプログラムを利用したい場合、「同一の特許出願」を行う特許庁へASPEC申請書を提出する必要がある。調査及び審査結果を受領したASEAN加盟地域の特許庁は、参考資料としてこれらの資料を参照・考慮することができる。ただし、これらの結果を受け入れる義務があるわけではなく、その国の法律に従い、特許を付与するかどうかを決定する。
  • ASPEC申請書等は、ベトナムでは、実体審査の間(特許査定/拒絶査定が出るまで)に提出する。マレーシアでは、審査請求時又は拒絶理由通知への対応時に提出する。シンガポールでは、調査レポート請求時、調査及び審査レポート請求時、審査レポート請求時に提出する。
  • マレーシア知的財産公社、シンガポール知的財産庁、ベトナム国家知的財産庁へは、ASPEC申請書は持参、郵送、FAXにより提出できる。
  • ASPEC申請の参加庁への手数料は、無料である。
  • 特許出願人は、他のASEAN地域における同一の出願の調査報告書及び審査報告書のコピー(最低限の資料)及び提出された最低限の資料で言及されているクレームのコピーとともに、所定のASPEC申請書を提出しなければならず、最低限の資料が提出されていない場合は、当該ASPEC申請は有効なものと認められない。
  • 可能であれば、追加資料として、現在出願しているクレームと対応する出願において審査されたクレームの関連性を示す対応表及び先行技術のリスト及び意見書のコピーも申請書に添付することができる。
  • ASPEC申請にかかる上記書類の言語は、英語で作成する必要がある。

  【留意事項】

  • 日本出願を基礎としてASEAN諸国にPCT出願する場合で、日本では(早期)審査請求をしていないがASEAN諸国では早期権利化を望む場合は、例えばシンガポールにPCT成果物(ISR)でのPPH申請等を行い、そのシンガポールの審査結果をもって他のASPEC参加国にASPEC申請を行う方法が考えられる。特に、日本での登録に基づく修正実体審査制度が整備されていない国では有効であろう。シンガポールは、審査官を今後5年以内に120名程度に増員する計画もあり、参加国での整備が進めば、シンガポールの審査結果に基づくASPEC申請の増加が見込まれる。ただし、ASPECプログラムにより、あるASEAN加盟地域における調査及び審査結果の情報は他のASEAN加盟地域と共有されることになるが、特許すべきか否かは、それぞれのASEAN加盟地域の基準によって判断される点に、留意する必要がある。
  • ASPECの申請書類の言語は英語で作成する必要があるため、英語以外の言語のASPEC資料(先行技術の資料、引用資料等)は、英語の翻訳文を併せて提出しなければならない。
  • ベトナムでは、実体審査の間(特許査定/拒絶査定が出るまで)であればASPEC申請を行うことができるが、他のASEAN加盟地域で良い審査結果が得られた場合は、その結果が得られ次第、すぐにASPEC申請を行うことが望ましい。
■ソース
・ASEAN Intellectual Property Portal
http://www.aseanip.org ・シンガポール知財庁ウェブサイト
http://www.ipos.gov.sg/AboutIP/TypesofIPWhatisIntellectualProperty/Whatisapatent/Applyingforapatent/ASEANPatentExaminationCo-operationASPEC.aspx ・マレーシア知的財産公社ウェブサイト
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/19106/Notice%26Procedures.pdf ・ベトナム国家知的財産庁ウェブサイト
http://noip.gov.vn/NOIP/RESOURCE.NSF/vwResourceList/DD7A49C49C13B9E347257A020015BBC2/$FILE/III%20Annex%20E%20-%20Notice%20&%20Procedures%20(VNApri12)clean.doc ・ASPEC申請フォーム
http://www.myipo.gov.my/documents/10180/19106/aspecrequestform08052012.doc
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
Banca Intellectual Property Law Firm
■協力
三好内外国特許事務所
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2013.12.14

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