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ブラジルにおける特許の早期権利化の方法

2014年03月14日

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■概要
ブラジルでは特許審査の遅れが指摘されており、ファーストアクションまで十数年かかることもあるが、所定の要件を満たす場合には、優先審査を請求することができる。
■詳細及び留意点

【詳細】

 優先審査を請求できる場合がいくつかあるので、制度を紹介する。なお、いずれも実用新案にも該当する。

 

(1) 優先審査について

 ブラジル産業財産権法第33条によれば、審査請求期間は出願日から36ヵ月あり、請求をしなかったときは、その出願は却下される。ブラジル知財庁(INPI)では出願順に審査を行っており、審査請求時期を早めたとしても審査着手を早めることはできない。

一方、審査を早める規定を含む3つのINPI決議が存在する。優先審査制度の一般条項を定めている決議第68/2013号、医薬分野の優先審査に関する決議第80/2013号、そしてグリーンパテントの優先審査に関する決議第83/2013号である。これらの優先審査を請求するためには、特別な願書(FQ009願書)がある。

 

(2) 優先審査の請求(全分野):決議第第68/2013号

 以下のいずれかの要件を満たす出願であれば、優先審査を申請することができる。

 

・出願人が、60歳以上の個人である場合

・特許出願の主題が、権原なき第三者に模倣されている場合

・特許の成立が、公的信用機関から財務資源を得るための条件になっている場合

 

 優先審査請求をすることができるのは、出願人及び利害関係人(例えば、上記の「特許出願の主題が、権原なき第三者に模倣されている場合」における被疑侵害者)である。

 実務的には、外国企業が利用できるのは上記要件のうち2番目の要件に該当する場合が多いと考えられる。2番目の要件に基づいて優先審査を請求するためには、事前に被疑侵害者に対して警告書を送付する必要があり、送付した警告状を優先審査請求時に証拠として添付しなければならない。警告書においては、(1)出願番号、(2)出願人名、(3)侵害行為に該当する恐れがある第三者による侵害行為態様を明示しなければならない。

 3つ目の要件である「財務資源を得るための条件」の場合は、一般的には、ブラジルの研究機関等と共同研究している場合以外は考え難い。この要件により優先審査を請求する場合には、当該特許出願の対象技術を担保として財務資源を請求した申請書のコピーと、財務資源の受領の要件として特許付与を要求していることが明示された書類の提出が必要となる。

 なお、優先審査を受けるための要件を満たしている場合には、原則として優先審査は認められる(現在、優先審査請求がなされた出願の内、80%以上において、優先審査の要件を満たしていると認められている)。優先審査に関する判断は、特許審査部長が下し、審査結果は官報により公表される。

 

(3) 医薬分野における優先審査:決議第80/2013号

 決議第80/2013号によれば、特許出願が特定疾患(エイズや癌等)の診断、予防又は処置に関するものである場合には、優先的に審査される。具体的には、SUS(統一保健医療システム)による規制を受ける医薬品に関する特許出願である場合(RESOLUÇÃO N68/2013,)、特許出願が健康省の医薬分野の支援に係る国家戦略(National Policy of Pharmaceutical Assistance of the Ministry of Health)に関係し、かつ、ブラジル統一健康システム(Brazilian Unified Health System)に戦略的であると認められている健康に使用される製品、製法、装置及び/又は材料に関するものとして指定されているものが対象となる。しかしながら、出願人自らが優先審査を請求することはできず、国家戦略に係わる場合に、健康省が請求する。ただし、エイズ、癌、及び「顧みられない病気(ポルトガル語:Doencas negligenciadas、英語:Neglected Disease)」とみなされる病気に関する発明の場合は、あらゆる利害関係人が請求することができる。

 

(4) グリーンパテント分野における優先審査:決議第83/2013号

 グリーンパテント分野に関する優先審査は、決議第83/2013号によって定められている。「グリーンパテント」に該当する発明は、WIPOが発行する「IPC Green Inventory」に基づく、環境に優しい発明及び環境技術に関する発明を指す。たとえば、代替エネルギー、輸送、エネルギー保護、廃棄管理及び農業に関する発明を含む場合が該当する。グリーンパテントの優先審査ができるのは出願人に限られ、優先審査を希望する者は、2014年4月17日までに、そのための特別の申請書を用い、所定の手数料を納付した上で、「グリーンパテント制度委員会」に対して優先審査請求をしなければならない。

 

【留意点】

ž   優先審査の請求(全分野)(決議第第68/2013号)の2番目の要件に基づいて優先審査請求をする場合は、上述の通り警告書の発行が要件となるが、警告書においては、被疑侵害品の技術が自分の特許の技術的範囲に属するかについて、どの程度詳しく述べなければならないかの最低限の基準は定められていないため、被疑侵害者に対して余計な情報を提供しないようにするため、自分の特許を侵害している旨だけのシンプルな警告書でも足りる。

ž   警告書には、上述の3点を記載する必要があるが、警告書の内容によっては被疑侵害者に過分な情報を与えてしまうリスクがあるため、内容は慎重に検討する必要がある。

ž   また、第三者(被疑侵害者)に対して、権原なく自分の特許出願の主題を実施していると警告書を送付した場合、反対に被疑侵害者により優先審査請求が行われることがあることにも留意する必要がある。

■ソース
・決議第68/2013号
http://www.inpi.gov.br/images/docs/resolucao_68-2013.pdf ・決議第80/2013号
http://www.inpi.gov.br/images/docs/resolucao_80-2013_-_exame_prioritario_saude.pdf ・決議第83/2013号
http://www.inpi.gov.br/images/docs/resolucao_83-2013_-_prorrogacao_patentes_verdes.pdf ・優先審査の請求のための願書(FQ009願書)
http://www.inpi.gov.br/images/docs/dirpa-fq009_formulario_exame_prioritario.pdf
■本文書の作成者
カラペト・ホベルト(ブラジル弁護士)
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
■本文書の作成時期

2014.01.30

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