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ベトナムにおける分割特許出願

2015年03月31日

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■概要
出願人は所定の期間内に自発的に特許出願および実用新案出願を分割することができる。ベトナムにおける特許出願および実用新案出願の分割に関する規則および実務は、基本的に他の国や地域の分割に関する規定と同様である点も多いが、他の国や地域とは異なる規則および実務が含まれている部分もある。
■詳細及び留意点

【詳細】

○特許出願および実用新案出願の分割の時期的制限

 ベトナムの特許実務に基づき、出願人は審査係属中、拒絶査定または特許査定通知の発行日より前であればいつでも、親出願から分割出願をすることができる。また、審査官の拒絶査定に対する不服審判請求の結果、審査官への差戻し審査となった場合の審査中においても分割出願できる。

 

 一つの技術的解決策について特許保護を求める企業にとって、その出願を複数の分割出願に分けることで有利になる場合が多いが、出願人は、その親出願がベトナム国家知的財産庁(National Office Of Intellectual Property:NOIP : NOIP)に係属している間に限り、分割出願できることに注意しなければならない。

 

○発明の単一性の欠如を理由とする分割出願

 出願の審査中に発明の単一性の欠如が指摘された場合に分割出願をすることが、最も一般的ケースといえる。

 単一性の欠如は、予備審査段階または実体審査において指摘される。予備審査において、発明概念として技術的に密接に関係していない複数の独立クレームが出願に含まれている場合、発明の単一性は満たされていないと見なされる。このような単一性に対する拒絶理由通知は、実体審査で行われる先行技術に基づく審査をせずに提起される。逆に、発明の解決手段が既に先行技術において教示されていると推定された後に単一性が判断される場合には、実体審査において複数の独立クレームで共通する技術的特徴が顕著な特徴かどうかが判断される。

 

 例えば、独立クレームに記載された発明が新規性または進歩性の要件を満たしていない場合、その従属クレームに記載された発明の単一性を慎重に検討する必要がある。その場合、当該独立クレームの一つの従属クレームに記載された発明の「顕著な技術的特徴」が、別の従属クレームに記載された発明に存在しない場合がある。そのような場合、単一性の欠如に関する拒絶理由が通知される可能性がある。

 

 上記のような単一性の欠如に対して、出願人は、親出願において審査対象として選択されかった発明の数に応じて一つ以上の分割出願に分けることができる。このような場合、出願人は、単一性の欠如の拒絶理由を解消するために、当該オフィスアクションへの応答時に一つ以上の分割出願をすることが要求される。

 

 これにより親出願の手続が続行され、より速やかな特許許可が可能になる。一方、出願人は、単一性の欠如が指摘されているクレームが単一性を満たしているという理由を陳述した意見書を提出することもできる。そのような意見書が、単一性の欠如による拒絶理由を撤回するよう審査官を説得できるほど十分な根拠を示していない場合には、更なるオフィスアクションが発行され、出願人は一つの発明を選択し、一つ以上の分割出願をすることが要求される。

 

 さらに、出願人は、一つの分割出願において残り全部の発明をクレームすることもできる。依然として単一性が満たされない場合、単一性の欠如に関する更なるオフィスアクションが出されるだろう。その場合、出願人はオフィスアクションへの応答時に、残りのいずれかの主題に関するさらなる分割出願をするよう要求される。特許法には明確に規定されていないものの、先に出願された分割出願から更なる分割出願をすることが可能である(いわゆる孫分割出願が許される)。

 

 なお、実務上この孫分割出願は、分割出願(子分割)が係属中であり、最初の親出願がまだ権利期間内にあるという制約下でのみ行うことができる(最初の親出願と全ての分割出願は同じ出願日を有し、特許が付与された場合、これらの特許は同じ権利期間が与えられる。この権利期間は、特許の場合は出願日から20年、実用新案の場合は出願日から10年である)。

 

○出願人による自発的な分割出願

 特許法の規定に従い、NOIPが拒絶査定、または特許査定通知を発行する前に、出願人は自発的に自己の出願を分割することができる。先述したように発明の単一性に関する拒絶理由通知に対する分割出願に加え、出願人は、拒絶されたクレームを含むクレームの審査を継続させる目的で、自発的に分割出願することもできる。

 

 例えば、ベトナム国内において、「用途」を主題とする発明は製品でも方法でもないため、特許付与可能な発明ではないという理由により、NOIPは「用途」に関する全ての発明を拒絶できる。ベトナムにおいて用途クレームが特許適格性を有するかどうかは論争の対象となっているものの、今のところこのような用途クレームを含む特許出願に対して特許は付与されていない。そのため係属中の出願から用途クレームを削除し、分割出願することにより、残りのクレームの特許性審査を長引かせないようにする方が可能である。分割出願を利用する他の場合として、権利の移転や実施許諾の対象となる発明のみを個別に権利化するために行うことなどが考えられる。

 

○分割出願のクレーム

 ベトナム特許規則に基づき、分割出願のクレームは、下記(a)および(b)の要件を満たさなければならない。(a)分割出願のクレームに記載された発明は、最初に出願された親出願に開示されていなければならない。つまり、出願人は権利範囲の狭いクレームを出願した後に、より広いクレームの分割出願をすることができるが、後の分割出願のクレームは、原出願の明細書の開示の範囲に含まれていなければならない。(b)分割出願のクレームに記載された発明は、分割後の親出願のクレームに記載された発明と異なるものでなければならない。つまり、親出願と分割出願が同一の発明をクレームすることはできない。

 

○分割出願に関する二重特許

 ベトナムにおいて、一つの発明には一つの特許のみが許可される。同一の発明を保護するために二つの特許は認められない。言い換えると、複数のクレームが同一の範囲または重複した範囲を有することは許されない。出願当初の一つ以上のクレームを分割出願することができる。しかし、出願人が先の親出願または分割出願において実体審査を受けたクレームと全体的または部分的に同等である一つ以上のクレームを分割出願に含めた場合、NOIPは、二重特許問題を理由に、特に当該分割出願のクレームに記載された発明が先の親または分割出願の発明と同じであるという理由で拒絶する。

 

 実際、先の親出願において既に特許付与された発明を、その分割出願に含めることはできない。しかし、親出願において削除されたクレームを分割出願することはできる。それ故、ベトナムにおいて分割出願する場合には、先の親出願または分割出願において実体審査を受けたクレームを考慮して分割出願のクレームを慎重に検討すべきである。

 

○分割出願に際しての留意事項

 分割出願には新たな出願番号が付与され、親出願と同じ出願日、および親出願と同じ優先権が与えられる。分割出願に際しては、優先権主張に関する料金を除き、親出願と同じ出願料および各所定料金を支払わなければならない。分割出願は、新たな特許出願として扱われる。

 

 分割出願の実体審査は、所定の期間内(特許出願の場合は、出願日または「優先日から42か月以内、実用新案出願の場合は、出願日または優先日から36か月以内)に実体審査が請求された場合に限り行われる。上記の期間後に分割出願する場合は、分割出願時に実体審査請求しなければならない。実際に、分割出願時に実体審査を請求することは珍しくない。

■ソース
・ベトナム知的財産法
・科学技術省・省令第01/2007/BKHCN号
・ベトナム特許審査ガイドライン
■本文書の作成者
Investip International Intellectual Property Law Firm Vu Ngoc Duong
Investip International Intellectual Property Law Firm Hoang Thi Tuyet Hong
■本文書の作成時期

2015.01.27

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