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シンガポールにおける特許出願公開制度

2014年04月08日

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■概要
シンガポールでは、特許出願後18ヶ月経過後に出願内容が公開されるが、早期公開制度もある。特許出願の公開を止めるためには、公開準備完了前に出願を取り下げる必要があるが、公開準備が完了する時期は厳密に決まっているわけではないため、出願後、可及的速やかに出願を取り下げるのが望ましい。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 公開と早期公開

 シンガポールでは、特許出願が公開準備完了前に取下げられ、放棄扱いされ、又は拒絶されない限り、出願後18ヶ月(パリ条約に基づく優先権を伴う出願の場合は、優先日から18ヵ月)経過後、出願時の状態で公開される。公開されるのは出願時のクレームのみでなく、それらのクレームの補正及び公開準備完了前に存在している新たなクレームも公開される(シンガポール特許法第27条(1)、特許規則29)。

 ただし、出願人は、所定のフォーマット(様式9)により、18ヶ月の期間経過を待たずに出願内容を公開するよう請求することができる(同法第27条(2))。早期公開の申請手数料は50シンガポールドルである。

 なお、登録官がシンガポールの防衛又は公衆の安全に不利益があると考えた場合は当該特許出願は公開されない(同法第33条)。また、登録官は、損害を与えるおそれがあると登録官が考える方法で人を誹謗する事項や、当該事項の公表又はその利用により、不快な、不道徳な又は反社会的な行動が助長されることが一般的に予見されると考える事項について、公開された特許出願の明細書から省略できる(同法第27条)。

 

(2) 仮保護

 シンガポールでは、特許が出願公開されれば、出願人は、特許が出願公開されてから特許権が付与されるまでの間に行われた、出願公開された特許の技術的範囲に属する行為ついて損害賠償を求める権利を有する(同法第76条)。ただし、損害賠償を求める場合には以下の要件を充足する必要がある。

 

・特許が付与されていること

・特許がその出願公開日に付与されたと仮定したとき、その行為が、その特許のみならず公開準備を終える直前に出願に含まれていた態様のクレームも侵害したことになること

 

【留意事項】

 出願が公開されることにより、出願内容が公衆の閲覧に供されることになる。この点、出願はしたもののやはり公開を望まない場合、特許出願の公開を止めるためには、公開準備完了前に出願を取り下げる必要があるが、公開準備が完了する時期は厳密に決まっているわけではないため、出願後、可及的速やかに、所定のフォーマット(様式9A)により出願を取下げるとよい。なお、取下げにかかる手数料は無料である。

 逆に、公開することで、出願人は上記のとおり仮保護を受ける地位を取得することから、競業他社を積極的に牽制したい場合にはあえて早期公開することも検討に値する。また、公開されると公知資料となり、その後に行われる他社出願の新規性、進歩性を否定する資料となり得るから、この目的のために早期に公開されることを望む場合にも、早期公開制度の活用は検討に値する。

■ソース
・シンガポール特許法
・シンガポール特許規則
・シンガポール知的財産庁ウェブサイト
http://www.ipos.gov.sg/Services/FilingandRegistration/FormsandFees/Patents.aspx ・早期公開申請フォーム(様式9)
http://www.ipos.gov.sg/Portals/0/Forms%20and%20fees/patents/PF09A4.pdf ・取下書フォーマット(様式9A)
http://www.ipos.gov.sg/Portals/0/Forms%20and%20fees/patents/PF9A20044.pdf
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
Donaldson & Burkinshaw LLP
■協力
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2014.01.16

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