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ベトナム語又は英語以外の言語を含む商標

2014年02月28日

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■概要
ベトナムでは、商標にベトナム語又は英語以外の言語のみからなる商標は、周知性を証明しない限り登録が認められない。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) ベトナム語又は英語以外の言語のみからなる商標

 ベトナムでは、広く使用されて標章として認められている標識を除き、通常使用されない言語の単語や文字は識別性を欠くと評価される(ベトナム知的財産法第74条(2)(a))。そして、ベトナム語及び英語以外の言語は「通常使用されない言語」であると考えられるから、日本語で使われる文字(漢字、カタカタ、ひらがなのこと。以下同じ。)のみから構成される商標は、ベトナム国内において周知性があることを証明できない限り、登録が認められない。実際、現在のベトナム知的財産法が施行された2006年7月1日以降の出願において、日本語で使われる文字のみからなる商標登録事例は確認されていない。なお、現在のベトナム知的財産法では、通常使用されない言語の単語及び文字はセカンダリーミーニングが認められない限り識別力を欠く旨が規定されているが、改正前はそのような規定は存在しておらず、同日以前の出願には、以下のような日本語で使われる文字のみからなる商標が登録されている。

 

 現在の知的財産法施行前は上記のような商標の登録が認められていたものの、現在は上記の通り、明文規定により日本語で使われる文字のみから構成される商標はベトナム国内における周知性を証明できない限り登録は認められないので注意を要する。

 

 もっとも、日本語で使われる文字にベトナム文字やアルファベットを併記した商標は、ベトナム文字やアルファベットの存在により商標全体としては識別性を有すると判断されれば、登録は認められ得る(ただし、留意事項の欄に記載するように実際の権利範囲は狭いので、注意が必要である)。

 また、例えば、日本語で使われる文字のみで構成される商標であっても、その日本語で使われる文字をローマ字表記すれば、アルファベットで構成される商標になるので、識別性を有すると判断され得る。

 そのため、まずは、英語あるいはベトナム語で表記した商標の登録を行い、それに加えて日本語で使われる文字で構成される商標について周知性の立証が難しい場合には、アルファベット併記等を行ったものを登録するという対応が考えられる。

 2006年7月1日以降では登録例は見当たらないが、同日以前の出願において、日本語で使われる文字のみからなる商標登録とアルファベットによる商標登録が併存する事例には以下のようなものがある。

 

(2) 周知性の判断

 周知性を判断するために斟酌される事情としては、次のようなものがある(ベトナム知的財産法第75条)。

 

・商標を知っている関係消費者の数(証拠資料の例:アンケート結果)

・商標を付した商品やサービスの流通の領域範囲(証拠資料の例:商品パンフレット)

・商標を付した商品やサービスの販売数量や販売金額(証拠資料の例:販売伝票、帳簿)

・商標の使用期間(証拠資料の例:商品パンフレット)

・商標に保護を付与し、また、周知と認めている国の数(証拠資料の例:認定をうけた判決の写し)

・商標を譲渡した場合の価値、ライセンス料(証拠資料の例:弁理士による鑑定書(見解書))

 

(3)実務手続

 出願商標にベトナム語又は英語以外の言語を含む場合、願書には、それらの単語や文字に、音訳又は英語による翻訳文を添付する必要がある(ベトナム知的財産法105条(2))。

 また、周知性を証明するために、上記に記載したような資料を添付して提出する。

 

【留意事項】

 日本語で使われる文字の部分については原則として識別性が認められないことから、日本語で使われる文字のみからなる商標の登録可能性は低いといえる。また、ベトナム文字やアルファベットと日本語で使われる文字からなる商標も、日本語で使われる文字の部分については周知性が認められない限り識別性を欠くと評価されるため、他社が日本語で使われる文字の部分のみが同一でその他の部分が異なる商標を使用したとしても、原則として自社の商標の類似範囲に含まれないと評価される。このような現状を前提にすれば、ベトナムにおいては、日本語で使われる文字の部分には周知性が認められない限り、仮に登録が認められても保護は及ばないとの認識の下に、使用する商標や出願する商標を検討することが望ましい。

■ソース
・ベトナム知的財産法
■本文書の作成者
辻本法律特許事務所
Banca Intellectual Property Law Firm
■協力
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2013.11.21

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