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中国における技術常識(中国語:「公知常識」)の立証責任の所在

2016年02月05日

  • アジア
  • 出願実務
  • 特許・実用新案

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■概要
中国特許審査実務において、発明の進歩性を評価する際、「引用文献の『技術常識(中国語:「公知常識」)』を組み合わせることにより、本発明の請求項に記載されている技術的特徴を導くことができる」という論理により、発明の進歩性が否定される事例が数多く見受けられる。公知常識に関する立証責任は、実体審査段階、無効審判段階、行政訴訟段階においてそれぞれ異なり、本稿では立証責任の所在に関して説明する。
■詳細及び留意点

【詳細】

公知常識

専利審査指南第二部分第四章の進歩性審査において、「公知常識」は、当該分野において技術的問題を解決する通常の手段、または教科書もしくは参考書などで開示された技術的問題を解決するための技術的手段、および当該分野において特定の技術的問題を解決する通常の手段が含まれると例示されている。すなわち、関連技術分野の具体的な技術問題を解決するために、当該分野における一般技術者が容易に想到しかつ用いる技術的手段のことを示している。「公知常識」の判断主体は「発明が属する技術分野の通常知識を有する者」であり、通常知識とは、世間の民衆全員が知っている事実であるとは限らず、出願日より前に当該分野の一般技術者に公知となっていた一般的な技術常識を示している。

 この他、以前は革新的と認められていた技術が、科学技術の発展に伴い、多くの分野、商品で広範に利用され、また多くの特許文献もしくは科学出版物等で開示され、多くの特許文献で引用された結果、これらの広範に開示された技術は、当該分野の技術者に熟知され「公知常識(公知技術)」になると中国における実務でも認められている。

 

「公知常識」の立証責任

(1) 実体審査段階

 専利審査指南第二部分第八章第4.10.2.2節では「審査官が審査意見通知書(拒絶理由通知書)において引用した当分野の『公知常識』は、確実なものでなければならない。出願人が審査官の引用した『公知常識』について異議を申し立てた場合には、審査官は理由を説明するか、或いは相応の証拠を提供して、これを証明できるようにしなければならない」と規定されている。出願人が審査官の引用した「公知常識」について異議を申立て、かつ審査官に立証を求めた場合、審査官は申立てを直接却下することはできず、改めて審査意見書を通知することになる。

 審査意見において、通常は「公知常識」は引用証拠と組み合わせて用いられる。「公知常識」が当該特許の技術的特徴を開示し、引用証拠がその他の技術的特徴を開示している場合、公知常識と引用証拠を組み合わせて当該特許の進歩性が否定される。

(2) 無効審判段階

 専利審査指南第四部分第八章第4.3.3節では、当事者である請求人もしくは被請求人がある技術的手段は「公知常識」であると主張した場合には、その主張を行った者がその主張に対して立証責任を負うことになる、と規定されている。立証の形式には、教科書、技術用語辞典、技術マニュアル等の提出といった法律で規定された一般的方法による立証や、当該技術的手段が既に広範にわたり使用されていることを証明する証拠、例えば、特許文献、学術文章、商品説明等を提出し立証することが可能である。

(3) 行政訴訟段階

 行政訴訟法第32条により、原告が専利復審委員会による「公知常識」の認定に明確な異議を申立てた場合、専利復審委員会が「公知常識」の認定に対し立証責任を負うことになる。

■ソース
・中国専利審査指南
・中国行政訴訟法
■本文書の作成者
維新国際専利法律事務所
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2014.12.28
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